私には、薬に頼らずアトピーを治そうと決めた30年以上前から実践している「こだわり」があります。それは可能なかぎり農薬や食品添加物が含まれていない商品を選び、生活に取り入れることです。これはアトピーが治った今でも続けています。
アトピーを改善するには、食品添加物に関心を持つことが大切です。
では、なぜ食品添加物はアトピーに影響するのでしょうか。その理由は3つあり、「体にとって異物であること」、「天然由来であっても危険性があること」、「知らないうちに過剰摂取となり、臓器に負担をかけること」です。ここでは、この3つの理由について紹介します。
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食品添加物は体にとって「異物」である
物を食べたとき、体は栄養を吸収するために消化活動を行います。その際、体にとって「不要なもの」や「異物」が入ることがあります。すると体はそれらを解毒したり分解したりして、外へ出そうとします。不要物や異物を吸収できない場合は、そのまま排出することもあります。
体にとっての「異物」として代表的なものが食品添加物です。
食品添加物の例として、防腐剤の「安息香酸ナトリウム」があります。
これはしょうゆ、マーガリン、栄養ドリンク、清涼飲料水などに使われており、じんましん、喘息の発作、アトピー性皮膚炎に関与します。
またサクサクとした食感を出す「ショートニング」。ラードの代用品として生まれた食品添加物で、クッキー、ドーナツ、ケーキといったスイーツをはじめチョコレート菓子、パンなど、数多くの食材に使われています。
この「ショートニング」には「トランス脂肪酸」とよばれる油成分が含まれており、動脈硬化、心筋梗塞、肥満などのリスクが高まることが判っています。
参考までにアメリカでは食品添加物の検査や取り締まりを行っている「FDA(米食品医薬品局)」により、2018年6月から「トランス脂肪酸」を含む油の使用を原則認めない方針が決まりましたが、日本では特に規制される動きもなく使用が続いています(参考:日本経済新聞「米、トランス脂肪酸の食品添加禁止 18年6月から」)。
ほかにもたくあん、お菓子、ジュース、カレー粉などに使われる「黄色4号」は喘息の発作や、じんましん、下痢などのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。
体に異物が入ったときに、体内の器官がこれを外へ出そうとするのは自然なことです。ただ、それを何度も繰り返していると、体への負担が増してしまいます。つまり、この結果がアトピーとなって現れていると考えられます。そのため、できるだけ添加物を取らない生活を心がけることが大切です。
食品添加物は天然由来であっても危険性がある
食品添加物がアトピーに影響する理由の2つめは、「たとえ天然由来であっても、体に有害となる危険性があること」です。
天然由来と聞けば、「化学物質である食品添加物より安全」という印象を持つかもしれません。ですが、天然由来の食品添加物は「昔から使われてきたから」という、極めてあいまいな基準で採用されています。つまり、ほとんどの天然由来の食品添加物は安全性について詳しく検証されないまま使われているのです。
たとえば「セイヨウアカネ」とよばれる植物の根を原材料とする色素があります。
この色素はハム、ソーセージ、お菓子、清涼飲料水、麺類、ジャムなどの着色料として使われているものです。植物由来の天然色素ですが、詳しく検証が行われたところ発ガン性が見つかり、今は使用禁止となっています(参考:厚生労働省「食品添加物「アカネ色素」を既存添加物名簿から消除することについて」)。
もうひとつの例として、着色料の「コチニール色素」という色素があります。これも天然由来の色素で、植物にいることが多い虫から抽出されます。コチニール色素は赤い色を作り出すもので、ハム、ソーセージ、お菓子、清涼飲料水、かまぼこなどの食品をはじめ化粧品、医薬品にも使われています。
このコチニール色素に対して、消費者庁は「急性アレルギー反応(アナフィラキシー)に関連する」として、2012年に注意喚起を発表しました(参考:消費者庁「コチニール色素に関する注意喚起」)。
消費者庁のサイトには
「コチニール色素を含む化粧品の使用や食品の摂取により、かゆみなどの体調の変化を感じた場合は、すみやかに皮膚科やアレルギー科の専門医を受診してください。」
という記載があります。これはアトピーに関する注意喚起です。
このように、天然由来の食品添加物だからといって、必ずしも安全とは言えません。むしろ天然由来の食品添加物は、長年多くの人が食べてきたという経験に頼っていて、まだ多くの種類は詳しい検証が行われていません。そのため「安全だと思っていたものが、あとで危険性と分かる場合」があることを意識しておく必要があります。
食品添加物は知らないうちに過剰摂取となり、臓器に負担をかける
食品添加物がアトピーに影響する理由の最後は、「知らないうちに過剰摂取となり、その結果臓器の働きに負担をかけてしまうこと」です。
現代の食生活で食品添加物をまったくとらずに生活することは、もはや不可能といえます。
ではどれくらい食品添加物を摂取しているのかといえば、20歳から60歳の大人は1日約21g、1歳から6歳の子どもは1日約11gとなります。
(参考:厚生労働省「マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査」の表5:食品添加物の年齢別摂取量)
この数値を元に、小麦粉を食品添加物にたとえて計量スプーンで計った場合、1日の摂取量は大人で「大さじ2杯+小さじ1杯」、子どもは「小さじ4杯弱」となります。
食品添加物と小麦粉では重さが異なるものの、「大人で大さじ2杯以上の食品添加物を、1年間毎日欠かさずとっているイメージ」です。また、この調査は1,500種類以上ある食品添加物のうち100種類しか対象としていません。そのため、実際にはさらに食品添加物を取り込んでいる可能性があります。
食品添加物を意識して控えるようにしないと、たくさんの「異物」を体に入れてしまうことになります。そうすると、アトピーへの影響もとても大きなものになります。
また、食品添加物が少ない製品を選ぶ習慣を、すでに持っている人もいると思います。ただ食品添加物はパッケージに表示されない場合があるので注意が必要です。
食品添加物を使用した場合、すべてを表示することが「食品表示法」によって決められています。ところが条件によっては「一括で表示」できたり、「表示を省略」できたりといった例外が認められています。
たとえば一括で表示できる例として、調味料には「アミノ酸等」と書かれています。「アミノ酸等」と書かれている場合、アミノ酸だけでなくほかの食品添加物も含まれています。つまり、体に有害な添加物が入っている可能性があるのです。
また表示を省略できる例には、「調味料を使った加工品」があります。たとえば「しょうゆを使ったせんべい」の場合、「使われている調味料の量が少ないため、体への影響はない」として、表示が省略されています。
さらにはパッケージの表示面積が30平方センチ(例:5cm×6cm)以下の小さい製品の場合は、原材料の表示も省略することが認められています。
つまり法律では「食品に含まれている全ての食品添加物を表示しないといけない」と決められていても、実際は一部しか表示されていないことが多いのです。そのため食品添加物を意識していないと、気付かないままたくさんの食品添加物をとっている可能性が高いのです。そして体内の臓器に負担をかけることになってしまい、アトピーを引き起こすことになるのです。
おわりに
ここでは「食品添加物がアトピーの原因となる3つの理由」を紹介してきました。
- 食品添加物は体にとって「異物」であるため
- 食品添加物は天然由来であっても危険性があるため
- 食品添加物は知らないうちに過剰摂取となり、臓器に負担をかけるため
これら3つの原因から、食品添加物がアトピーにとってとても大きな影響を与えるものであることが分かります。パッケージの表示を見て含まれている添加物を確認したり、多くの添加物が隠れているお惣菜や加工品に頼らない食生活を心がけたりすることが、アトピーケアにつながります。