アトピーの改善に効果が期待できるものとして「乳酸菌」があります。乳酸菌をとることで「腸内環境」が良くなり、皮膚の健康につながることが国内外の研究でわかっています。
乳酸菌はアトピーの改善策として注目されていますが、単にヨーグルトやサプリメントをとれば良いものではありません。なぜなら腸内に存在する細菌の種類は一人ひとり違うため、1種類の乳酸菌しか入っていないヨーグルトやサプリメントだけでは、アトピーの改善をサポートすることは難しいからです。
ここでは「乳酸菌の働きとアトピーの関係」について解説したあと、「アトピーの改善をサポートする乳酸菌のとり方」について紹介します。
乳酸菌の働きとアトピーの関係
乳酸菌は体を病原菌やウィルスなどから守る「免疫機能」を高めたり、アトピーやアレルギーを抑えたりすることが分かっています。
乳酸菌がアトピーを抑える仕組みには、腸の中で生きている細菌(腸内細菌)が関係しています。
腸の中には、500種類以上の腸内細菌が存在しています。たくさんの種類がある腸内細菌は、大きく「善玉菌(ぜんだまきん)」と「悪玉菌(あくだまきん)」という2つに分けられます。
善玉菌は、「体の消化吸収を助けたり、体に抵抗力をつけたりするなど、良い働きをする菌」を指します。悪玉菌は炎症を起こしたり有害物質を作ったりするなど、「体に悪い働きをする菌」です。
善玉菌の割合が悪玉菌よりも多い状態が、バランスの良い健康的な腸内環境です。
善玉菌と悪玉菌のバランスはアトピーに深く関わっています。
たとえば善玉菌が増えると、腸の働きが活発になります。すると便通が良くなり、体から不要なものを排せつする力が高まります。スムーズに体内の不要物が排せつされることは、アトピーの改善に大切です。
反対に悪玉菌が増えると腸の働きは悪くなり、便秘を引き起こしやすくなります。便秘は体に不要なもの有害なものが排せつされず体内に溜まるため、アトピーにつながりやすくなります。
善玉菌と悪玉菌のバランスを良くすることに役立つのが乳酸菌です。
乳酸菌をとると、善玉菌の割合が増えます。「雑菌の増殖を抑える」という乳酸菌の働きによって、悪玉菌が抑えられるからです。
また乳酸菌をとると、腸内細菌の全体量を増やすことにつながります。アトピーの人は健康な人に比べて、腸内細菌の全体量が少なくなっています。そのため腸内細菌を増やすことは、アトピーを改善させるために効果的です。
アトピーの改善には「日ごろから乳酸菌を多く含む食品をとること」「乳酸菌を含む食品をとることで、腸内細菌の全体量を増やすこと」が大切です。
アトピーには「発酵食品」がおすすめ
乳酸菌をとるには、「味噌」「しょうゆ」「ぬか漬け」などの発酵食品がおすすめです。
乳酸菌には「植物性」と「動物性」の2種類があります。
味噌やしょうゆ、ぬか漬けに含まれるのは「植物性乳酸菌」で、腸内細菌を増やすだけではなく、「腸の働きを整える作用」や「アレルギー反応を抑える働き」があります。
チーズやヨーグルトなどに含まれるのは「動物性乳酸菌」で、上記の働きが植物性乳酸菌よりも劣ります。
一般的に多くの人が乳酸菌と聞いて思い浮かべるのは、ヨーグルトだと思います。しかし日本人がヨーグルトを日常的に食べるようになった歴史は浅く、もともとはヨーグルトを消化・分解しにくい体質です。
そのためヨーグルトを食べると、人によっては消化できずに下痢やアレルギー反応を起こすなど、腸に負担をかけることになります。
一方味噌、しょうゆ、ぬか漬けなどに含まれている乳酸菌は、古くから日本人が食べ慣れているため、体に負担をかけることなく乳酸菌をとることができます。
さらにこうした日本古来の発酵食品には、さまざまな乳酸菌が含まれています。そのため1、2種類の乳酸菌しか含まれていないヨーグルトやサプリメントよりも、「腸内細菌のバランスを崩しにくい」というメリットがあります。
腸内に存在する細菌の種類や割合は、人それぞれで異なります。乳酸菌には種類があるため、人によって相性があります。
たとえばAさん、Bさんの2人が同じ乳酸菌サプリメントをとったとします。このとき、Aさんは「効果がある」と感じて、Bさんは「効果が感じられない」ことがあります。
これはサプリメントの乳酸菌がAさんとは相性が良く、Bさんには合わなかったためですが、腸内細菌の構成がAさんとBさんで違っていることを考えれば自然の結果です。
同じサプリメントの口コミでありながら、まったく逆のコメントを見かけるのは、こうした理由です。1、2種類の乳酸菌では、すべての人に合うとは限らないのです。
これに対して味噌やしょうゆなどの発酵食品には、さまざまな種類の乳酸菌が含まれています。そのため元々持っている腸内細菌に受け入れやすいのです。
私はアトピーが改善された今でも、食事にみそ汁やぬか漬けなど、発酵食品を積極的にとり入れています。
まとめ
ここでは「乳酸菌の働きとアトピーの関係」、「アトピーの改善をサポートする乳酸菌を含む食べもの」について紹介しました。
乳酸菌を日々の食生活にとり入れることは、アトピー改善に効果が期待できます。
そして乳酸菌の働きを活かすためには、「自分の体内にある腸内細菌と相性の良い乳酸菌」をとることが大切です。
そのためには、ヨーグルトなどの「動物性乳酸菌」よりも、「植物性乳酸菌」がたくさん含まれる味噌、しょうゆ、ぬか漬けなどがおすすめです。